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納谷悟朗の死 [追悼]

 あれから2年。私が東日本大震災について何を語れるというのか。いまだ福島の原子力発電所は危険な状態にある。原子力発電所の安全性について「専門家」の保証がいかにあてにならないかを痛感させられた。にもかかわらず、「安全性が証明された原発から再稼働を進めていく」などとのたまう厚顔無恥なしんぞう首相。八朔やの文旦やの仏手柑やのに被災地への対策を一切いれなんだゼロサム市長。それらを応援する目玉焼きマークの新聞社。一日一日と、「風化」は進んでいく。
 そういえば、「ぽぽぽぽーん」の歌手の方は今はどうしてはるんやろう。あれだけ毎日何度も何度も聞かされた曲やもんな、みんな忘れてへんよな。今これを読んで初めて思い出した人もいてるかな。ほら、記憶なんて簡単に風化するのさ。

 舞台俳優で声優の納谷悟朗さんの訃報 に接する。享年83。死因は慢性呼吸不全。
「たったひとつの命を捨てて、生まれ変わった不死身の体。鉄の悪魔を叩いて砕く。キャシャーンがやらねば誰がやる」
 ちょうど関西テレビの深夜枠で「新造人間キャシャーン」の再放送をやっていて(最近ちょっとためてしもうてるけれど)、見るたびにこの冒頭のかっこいいナレーションが流れるのであります。納谷さん以外に誰がこの朗々としつつも重みのあるナレーションができたでありましょうや。
 ショッカー首領の声の不気味な響き、マッチョなヒーロー、チャールストン・ヘストンにジョン・ウェイン。新聞では当然銭形警部の声優と見出しがついていたけれど、さ。ただ、晩年のテレビスペシャルでがさがさに枯れてしもうた声を聞くのが苦痛で、とても見る気にはなれなんだよ。
 10数年前にたまたまテレビをつけたら、NHK教育テレビの小学生向けの理科の番組で(プロコフィエフ「3つのオレンジの恋」の行進曲をタイトルに使うていてびっくりした)で博士の役をやってはったなあ。もうかなり歳がいってて枯れたマッドサイエンティストみたいな感じやったのに驚いた。そやけど、とても楽しそうに動いてはった。ああ、やっぱり役者さんなんやなあと思うた。
 当たり前のように聞いていた「しびれるような声」をもう新たに聞くことはでけんのやなあ。寂しいなあ。
 謹んで哀悼の意を表します。

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