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琴剣の死 [追悼]

 ちょっとばかり仕事の上でへこむことがあり、週明けから嫌な気分。こんな気分を抱えて新年度を迎えなければならないのかと思うと、早期退職ということも頭をよぎる。仕事というのはやはりやりがいがないとなあ。もう少しいい気分で4月を迎えたいものです。
 相撲漫画家、琴剣淳弥さんの訃報に接する。享年60。死因は非公表。
 漫画の得意な現役の力士がいるということで、まだ佐渡ヶ嶽部屋の力士やったころからスポーツ紙にマンガルポなどを描いていたけれど、そのころは特にうまいとは感じでなんだ。幕下に上がることもできないままに現役を引退し、ちゃんこ屋で修業をしながら相撲雑誌に漫画を描いていたけれど、まだそれで食べられるほどにはならず自らちゃんこ屋を開いていた。
 ただ、内容は相撲部屋で生活した者にしかわからん独自のもので、そのうちに画力も上がり、相撲協会公認漫画家になったころには、一枚絵もプロのものとして見られるほどになっていたから、努力の人やったことがうかがえる。
 取材しただけではどうしても力士の生活というものに嘘っぽいものが出てくるけれど、琴剣さんのマンガルポは実録のストーリーものでも、その力士の息遣いまで感じられるまでになっていて、これはもうもと力士でないと描かれへん世界。特に数年前まで相撲雑誌に折り込み付録としてついていた力士の似顔を使うたカレンダーは出色。稀勢の里の横綱昇進記念に作られたジャポニカ学習帳の表紙も迫力のある土俵入り姿で非常によかった。
 相撲に特化した漫画家ではあったけれど、心から相撲と力士を愛しているから、私たちのような相撲ファンには欠かせない漫画家やった。
 まだ60歳。これからまだまだ相撲の世界を奥深く描いていってくれたやろうと思うと、その死は辛い。大好きな相撲と漫画を仕事にできたというところでは少しうらやましくもあるけれどね。
 謹んで哀悼の意を表します。
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